2014年4月14日月曜日

薩摩切子

山荘では
庭にまだ雪が残っていますが、
別荘地内は日一日と春らしくなってきました。

花も新緑もまだですが、
青空に向かって枝を伸ばしている白樺が芽吹き、
山全体が若葉に覆われるあの美しい景色を心待ちにしています。


別荘地内の白樺



◆◇◆

ところで、
日経新聞夕刊に「人間発見」という連載記事がありますが、
4月7日からは薩摩切子(さつまきりこ)の女性職人、
中根櫻龜(おうき)さんが書かれていました(5回連載)。

切子といいますと、私はすぐ江戸切子を思い浮かべますが、
今回の連載で薩摩切子のことが少しわかり、勉強になりました。


島津薩摩切子が出品されていました。


「島津薩摩切子」~テーブルウェア・フェスティバル 2014.2.5



1851年、島津斉彬は第11代薩摩藩主に就きますと、
鹿児島城下に工場群「集成館」を建設し、
製鉄、造船、紡績などと共に、
ガラス工場で切子や板ガラスなど様々なガラス器を製造しました。

しかしその7年後、
斉彬は急逝し、集成館事業は縮小、
更に1863年の薩英戦争で工場は焼失します。

そして明治10年(1877年)の西南戦争前後に
薩摩切子の技術は途絶えてしまったそうです。

その後1世紀以上を経て
同じ鹿児島の地に薩摩ガラス工芸が設立され、
薩摩切子の復元作業が開始されました。

中根さんは
そのために1984年東京ガラス工芸研究所から鹿児島に派遣されて来ました。
資料や図録を読み込んで図面を書き起こしたりして
手探りで作業を進められたそうです。


以下に中根さんの記事を引用します。 (【 】内)


薩摩切子は透明ガラスに紅や藍、緑など厚さ1~3ミリの色ガラスを重ね、
手作業で模様を彫り込んで製作します。
最大の特徴は色ガラスと透明ガラスが織り成す色の濃淡「ぼかし」、
温かみのある色合いが出せます。ひとつひとつが手作りで、同じものはありません


そして、

中根さんは
デザインに深みと幅を広げるために「二色被(ぎ)せ」と呼ぶ技法を編み出します。
透明ガラスの上に2色のガラスを重ねて3層にします。
曲線の削りと多彩な配色で表現できる世界が広がったそうです。


しかし、

ただ二色被せは高度な技法です。職人が溶けたガラスに息を吹き込んで、
厚みと色を調整する絶妙なバランスが要求されます。
この成形生地は温度管理も難しく、なかなか思ったような仕上がりになりません。
熟練の職人でも、商品として次の加工に回せる歩留まりは、
単色が5割前後ですが2色は2~3割です。
薩摩切子はこうしたコストに加え、器のカット、研磨、検査まですべてが手作業。
完成品にぬくもりは出せますが、どうしても高価になります。
猪口(ちょこ)は2万円台から、ロックグラスは5万円台から、
花瓶では10万円以上する作品も多いです。



「島津薩摩切子」のHPより



これだけの技術と手作業によって
あの繊細で美しい薩摩切子が出来上がっているのだと思うと、
あの価格も得心のいくものですし、
それだけ出しても欲しいという方が多いというのも頷けます。

来年六月頃には
日本橋三越本店で個展が開催されるそうです。
とても楽しみです。



薩摩切子の詳しい歴史や美しい作品の写真などは
「島津薩摩切子」のHP をご覧ください。


2 件のコメント:

  1. 素敵なお話 読ませて頂いて!
    感動しました

    日本のモノ創り
    やはり大切に続けて行く努力は
    従事者はもちろんですが
    利用者もしっかりココロに刻んで
    購入していって欲しいですね

    おちょことかいつか買ってみたいなあ

    このブログ ツイートさせて頂いてもいいですか?
    モノ創りのお友達にも教えてあげたいのです

    返信削除
    返信
    1. Kagishippoさん、読んで頂いて有難うございます。
      こういうモノづくりの裏話や歴史を知ると作品への理解が深まって、その価値を再認識しますね。
      私もいつかひとつ買ってみたいです!(^^)!

      そして是非ツィートして下さい。こちらこそよろしくお願いします。

      削除

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。