2012年8月19日日曜日

スペイン旅行(14)モンセラットMontserrat~(終)

バルセロナ見学の後、
1時間10分ほどバスに乗ってモンセラット(モンセラート)に行きました。

モンセラットMontserratはバルセロナの北西約60キロにある
灰白色の岩山で、その意味は「のこぎり山」だそうです。
サグラダ・ファミリアのモデルともいわれる山で、
標高1,235mのこの山には
11世紀にベネディクト派の修道院が建てられ、
マリア信仰の聖地となっています。

モンセラット景色・・・2012.6.7 by Poran111

こんな奇岩が聳えるモンセラットですが、
大昔は海だったそうです。

モンセラットの景色 by Poran111
モンセラットは「黒いマリア像」で有名ですが、
1811年にナポレオン軍の侵攻により修道院が破壊尽くされた時、
その黒いマリア像は敬虔な信者達によって守られ、
1881年には教皇レオ13世によりカタルーニャの守護聖母とされました。

モンセラットの教会・・・2012.6.7 by Poran111



モンセラットの教会のステンドグラス by Poran111


黒いマリア像は祭壇の上部に祀られていて、
このマリア像目指して多くの人が列をなしています。
マリア像までの階段の壁に綺麗なモザイクが施してありました。

モンセラットの教会のモザイク by Poran111


黒いマリア像は
12世紀に修道院から30分ほどのサンタ・コバ洞窟で
羊飼いにより発見されたもので、
もとから黒かったわけではありません。

黒くなったいきさつについては諸説あるようですが、
信者が供える燈明の煤によって長い年月の間に黒くなった、
というのが一般的なようです。

黒いマリア像・・・モンセラット by Poran111


フランコ独裁時代、カタルーニャ語が禁圧された時も
この教会だけは終始カタルーニャ語によるミサが
黒いマリア像の前で行われており、
今でもカタルーニャ人の心の拠り所となっています。

モンセラットの教会の祭壇 by Poran111


教会内にはモダンなキリストの絵画や
下の写真のような手と足だけが彫り込まれたキリストの絵?がありました。

手と足だけのキリスト・・・モンセラットの教会 by Poran111


教会を出て駐車場に戻るまでの間には
カフェテラス、土産物屋、ホテルなどが並んでいます。
その道端に近隣の農家の人達が手作りジャムやハチミツ、ケーキなどを売っていました。
私達は小さな丸型のケーキを購入。

モンセラットのフルーツケーキ6.7 by Poran111


厚みはさほどありませんが、
ナッツ類がいっぱいトッピングされ、
生地にはドライイチジクがびっしり詰まっています。
フルーツの甘さだけと思えるくらいの優しい甘さで
とても美味しい私好みのケーキでした。
もっと買ってくればよかったと後悔しました。

フルーツケーキ・・・モンセラット 2012.6.7 by Poran111


その他のお土産を少しご紹介しますと、
コルドバからグラナダへ行く途中で買ったドライフルーツとナッツや、

ドライイチジク(グラナダ) 2012.6.4 by Poran111


親戚友人に配る小さな缶入りのオリーブオイルと
オリーブオイルの石鹸など・・。

オリーブオイルと石鹸(グラナダ)  2012.6.4 by Poran111



自分用にバルセロナのスーパーで買ったオリーブの缶詰。
とても安かったです。

オリーブの缶詰・・・バルセロナ 2012.6.7 by Poran111


サグラダ・ファミリアのshopではTシャツやスプーン、
そしてタイル。

サグラダ・ファミリア(バルセロナ)  2012.6.7 by Poran111


細々としたものばかりですが、
それぞれの地の想い出につながり、
買った時より日本で手にした時のほうがよく見えるのが不思議です^^

◇◆◇

このモンセラットで私達のスペイン旅行は終わりとなりました。

私にとってスペインで受けた一番の印象は、
なんといっても各地に残る「イスラムの影響」です。

イスラム教徒は
711年北アフリカからジブラルタル海峡を越えてイベリア半島に上陸。
716年には半島の2/3を支配下に収め、
約800年近くにわたるイスラム支配が始まりました。

イスラム教徒はだんだん北上し、最後はフランスとの境の
ピレネー山脈を超えますが、
キリスト教勢力に敗れ、ピレネー山脈南方へ後退します。
レコンキスタ(キリスト教国による再征服運動)により、
1492年グラナダの陥落を最後にイスラム支配は終了しました。


メスキータ内部・・・コルドバ 2012.6.3 by Poran111


私達はマドリッドから南へ下りながら旅を続け、
最後は飛行機で北上して一気にバルセロナへ行きましたが、
イスラム教徒と同じように南から北へと旅をしたら
歴史に沿った流れが体験でき、面白かっただろうと思います。

例えば、アンダルシアを北上し、
赤茶けて荒涼としたカスティーリャの大地を走り抜けてマドリッドに到着したのなら、
その緑の多い景色はイスラムの人々には、
まさに「肥えた土地」(マドリッドのアラビア語の意味)として映ったということが、
実感できたかもしれません。


イスラム支配下ではユダヤ教徒とキリスト教徒は
いろいろな差別はあったにせよ、
啓典の民として信仰を続けることを許され、
強制的な改宗を迫られることはなかったようです。
総じて寛容な支配でした。

一方、レコンキスタを完成させたイサベル1世
他宗教徒を執拗に追放・殺戮しました。
またコロンブスも新大陸で先住民を大虐殺しています。


アルハンブラ宮殿の貴婦人の塔 2012.6.4 by Poran111



昔教科書で習った程度のことしか知らなかった私。
今回の旅行で沢山のことを学びました。

短いパック旅行で、各地をさっと通り過ぎたような旅でしたが、
それでも「百聞は一見にしかず」、
実際にその地を歩くことは多くのものを吸収できる良い経験となります。

来年もまたヨーロッパのどこかへ、個人旅行でゆっくり行きたいと思います。

たった10日間(正味8日間)の旅行なのに
長い旅行記となってしまいました。

最後まで読んで下さって有難うございます。
書き続ける上で、何よりの励みとなりました。


6 件のコメント:

  1. charanさん、

    スペイン旅行記、ずっと楽しみに拝読していました。私は2度、旅行でスペインを訪れていて、charanさんが今回行かれた場所も殆ど行っていたはずなのに、旅行記を読んで、そうだったのか!と初めて知った事がいくつもありました。charanさんの旅行記は、正確な背景の説明にcharanさんの感性が加味されて、とても内容の濃い読み物で、いつも次回の訪問場所の記述が楽しみでした。
    私もスペインの印象は、至るところで見た、「光と影」の織り成す独特の風景であり、また複雑な歴史の変遷を経て今に残っている、イスラム芸術の美しさに大いに感動したものでした。その感動を旅行記で再度、思い出すことが出来ました。

    来年も、再来年も是非、素敵な旅行記をアップして下さいね。楽しみにしています。

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  2. Angelaさん、
    読んで下さって有難うございます^^
    おっしゃるように、「光と影」はスペインの特徴ですね。
    私はもっとあっけらかんとした陽光の国というイメージを持っていたのですが、今回はローマ帝国による支配からイスラム教徒の長い支配、フランコの独裁なども見て来ました。
    中でもイスラムの影響はスペインを特徴づけているように思います。イスラムというと今のイスラム原理主義ばかり思い浮かべてしまいますが、スペインで見たイスラム芸術と寛容な支配に感動しました。

    来年はドイツかな?と夫は言っています^^

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  3. charanさん、スペイン旅行記ありがとうございました。
    毎回楽しみに拝見させていただきました。
    これだけの写真を載せながらのアップはさぞかし大変だったのでは?
    歴史も織り交ぜての記述は大変勉強になりました。
    ヨーロッパといえどもお国柄でそれぞれ全く違うものなのですね。
    最後にアップされていたモンセラットの教会のステンドグラスはすばらしいですね。
    お土産の楽しみも写真から感じることが出来ました。
    また次回?も楽しみにしています~

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  4. dorinさん、
    読んで下さって有難うございます。
    長々と書いてしまいましたが、書きながらもう一度スペイン旅行をしているようで、楽しかったです^^

    私は米国滞在中アメリカや近隣を旅したくらいで、新婚旅行以来海外旅行は長男の大学卒業記念に家族で韓国へ、夫の退職後やっとイタリア、フランスそして今回のスペインです。夫がサラリーマンの時はほとんどまとまったお休みは取れず、いつも蓼科ばかりでした(;一_一)
    もっと若い時に海外旅行をしたかったなぁ、というのが正直な感想です。
    体が元気なうちになるべく沢山ヨーロッパを旅行したいと思っています(*^。^*)


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  5. charanさん
    旅行記、楽しく読ませていただきました。
    旅行は、行く前の準備、旅行中、帰ってきてからの写真の整理など、
    そして思い出・・と随分楽しめますよね。
    これだけの旅行記、事前の準備、10日間の充実した日々が
    伺えました。ありがとうございました。

    ヨーロッパはオランダ・ベルギーしか行ったことがありませんが、
    小さな国でも、夫々の歴史、文化、趣きが違い、2週間の滞在が
    あっという間でした。
    来年はドイツですか? うらやましい~。
    私の夫も、体が元気なうちは海外を歩きたいと言っています。
    旅行記を参考にして、いつか行ける日を楽しみにしています。(*^_^*)

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  6. 55okeikoさん、
    長い旅行記を読んで下さって有難うございます。

    オランダ、ベルギーに行かれているんですね~ それこそ羨ましいです^^
    オランダとベルギーには長男が学生時代に行っていて、可愛い小物が沢山あってお母さんが好きそうな国だよって言ってましたっけ・・・海外旅行は子供たちに先を越されています。
    北欧にも行ってみたいし・・・
    体が弱ったら国内旅行に切り替えようと思っています(笑)

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