2015年4月25日土曜日

「老いの神話」

もう1か月ほど前になってしまいますが、
3月31日付の日経電子版に
「一条真也の人生の修め方」という記事が載っていました。

月2回の連載記事だそうですが、
その時のタイトルは
「老いることをポジティブにとらえよう」というものです。

その記事によると・・・

「老いの神話」というものがあって、
それは
高齢者を肉体的にも精神的にも衰退し、ただ死を待つだけの存在とみなし、
「孤独」、「無力」、「依存的」、「外見に魅力がない」、
「頭の回りが鈍い」などと考えることだそうです。

しっとりと落ち着いた老境を思わせる桜風景~信州駒ヶ根光前寺境内 2015.4.21


しかし、
その見方を変えてみるとこうなります。

高齢者は

「孤独」なのではなく、「毅然としている」のだ、
「無力」なのではなく、「おだやか」なのだ、
「依存的」なのではなく、「親しみやすい」のだ、
「外見に魅力がない」のではなく、「内面が深い」のだ、
「頭の回りが鈍い」のではなく、「思慮深い」のだ

というふうにです。


「老いの神話」を打ち破る作業は、
すでに紀元前1世紀に古代ローマの賢人キケロが「老境について」という本で
行っているそうです。


老いをこれだけ超ポジティブにとらえていけば、
これから歳を重ねていくのも悪くないですね・・・

明るく生命力あふれるひまわり畑
~ロンダからセビーリャへ行く途中 2012.6.6スペイン旅行より


2015年4月21日火曜日

駒ヶ根のしだれ桜

今日、
信州駒ヶ根にある光前寺(こうぜんじ)の
しだれ桜を見に行って来ました。

朝はお天気がイマイチでしたが、
天気予報通りどんどん青空が広がってきました。

諏訪インターから高速に乗り、
駒ヶ根で降りてお昼を食べた後、
光前寺に向かいました。

お寺の駐車場から
中央アルプス宝剣岳と千畳敷カールが綺麗に見えました。

その前にしだれ桜が広がります。

宝剣岳と千畳敷カール 2015.4.21


光前寺は天台宗のお寺ですが、
長野県では善光寺に次ぐ大寺だそうです。

光前寺門前のしだれ桜 2015.4.21


境内のあちこちにちょうど見頃のしだれ桜が
風に揺れています。



杉並木参道石垣の石の間に
光ごけが自生しています。

今日はお天気が良くて明るかったのでよくわからなかったのですが、
観光客の方に教えて貰い、見る角度を変えてみると
蛍光色に薄く光る様子がわかりました。

杉並木参道石垣に自生する光ごけ~石と石の間にあります 2015.4.21


私は
しだれ桜というと、
濃いピンク色の妖艶に枝垂れている桜のイメージが強く、
どちらかというと苦手な桜でした。

でも
光前寺のしだれ桜は薄いピンク色のものが多く、
大木でも威圧感がなく、
楚々として
とても自然な感じで好きになりました。



最後に
とても大きく枝を広げたしだれ桜をご覧ください。

しだれ桜の大木 ~ 光前寺 2015.4.21


近いうちにPoranがこの光前寺の桜についてブログに書きますので、
詳しくはそちらをご覧ください。




2015年4月18日土曜日

ふきのとう味噌

標高1,600mに建つ山荘にも遅い春がやって来ました。

雪は所々に残っていますが、ふきのとうが続々と咲き始めています。

山荘近くに自生するふきのとう


12日に初収穫して天ぷらにしましたが、
その後また雪が降ってしまいました。

一昨日再びふきのとうを採ってきて
ふきのとう味噌を作りました。

ふきのとう味噌 2015.4.18


今年はくるみを入れたものも作ってみました。

でもシンプルにふきのとうだけのものの方が
美味しいと思いました。

くるみ入りふきのとう味噌 2015.4.18


ふきのとうのほろ苦さが甘味噌と合って、
ご飯にぴったりの春の一品です。





2015年4月12日日曜日

「赤い花」のお皿

2月に作った 青い花柄のお皿 を見た友人から
赤い花のお皿を作って欲しいというリクエストを貰いました。

「赤い花の角皿」 約130㎜角


お花や色ガラスの配置は同じようにということでしたので、
「青い花のお皿」と色違いだけのように見えますが、
前回全体に薄くストライプのペイントを施したのを止めて、
今回はお花と斜めに向かい合うガラスを縞模様のガラスにしました。

この方が赤いガラスやお花がはっきり綺麗に見えます。





私は
先週東京に行きましたが、
久し振りに伊勢丹本店(新宿)に寄ってきました。

その時買い求めたアーモンド菓子を
このお皿にのせてみました。

普通はクリーム色のお菓子ですが、
ピンク色は季節限定のいちご味です。



最近ではどのデパートでも
私はリビング売り場と地下しか行かないのですが、
伊勢丹のリビング売り場では
丁度日本の手仕事というようなテーマで
北陸地方を中心とした
様々な器や織物などが展示されていました。

どれも繊細でそれは美しく、高価ではありましたが、
その価値があると思いました。

久し振りに食器を堪能し、寝具を少し購入した後、
地下でお菓子をいくつか買って来たりして、楽しんできました。



明後日このお皿を持って東京に行って来ます。
他の用事で九段下に行きますので、
その途中でこのお皿をリクエストしてくれた友人に見せて
意見を聞きます。

手直しするところがあればやり直して、
3枚作る予定です。



2015年4月4日土曜日

「風の影」

今日ご紹介する小説「風の影」(上・下)は
バルセロナ出身のカルロス・ルイス・サフォンの作品です。

この本も
スペイン物を読みたいと思っていた私に
知人が勧めてくれたものです。

この本は
サフォンの5作目の小説でいくつかの賞を取っていて、
17言語、37か国で翻訳出版されています。



1945年のバルセロナ旧市街を舞台に
話は始まります。

10歳のダニエル少年が
父親に連れられて
「忘れられた本の墓場」に行き、
無名の作家フリアン・カラックスの
「風の影」という本と出合います。

ダニエルはすぐその本の虜になりますが、
その後16歳になった頃、
謎に満ちたフリアン・カラックスの足跡を辿るようになります。

バルセロナの旧市街のゴシック地区・・・ダニエルが通った道かもしれません
~2012.6.7 スペイン旅行にて~


そのうちダニエルは
不思議な運命の糸に操られるかのように
フリアンの人生をなぞるような道を歩き始めます。

35年ほど前のフリアンと同じような青春を過ごしていくダニエルは
フリアンと同じ結末を迎えるのでしょうか・・・

薄紫のジャカランダの花が咲くバルセロナの街
~2012.6.7 スペイン旅行にて~


この本は
スペインの現代小説では史上空前ともいえる超ロング・ベストセラーとなり、
早々と翻訳本の出たドイツでは「サフォン・マニア」という言葉が生まれ、
フランスでは2004年に最優秀外国文学賞を受賞しています。


小説の背景となる時代は
フリアン・カラックスの過去が横たわる19世紀末から1920年頃まで、
スペイン内戦時代、
ダニエルの現在が進行する1940年から50年代の内戦後の時代の
三つに分かれます。

19世紀末から20世紀初めのバルセロナは
経済においても芸術においても
内地の首都マドリッドとは全く異なる華やかな時代を迎えていました。
ガウディを輩出した時代でもあります。
独自の文化と言語を持つバルセロナでは
内陸部よりはるか以前から共和主義的な気運が支配しており、
1932年には自治政府を成立させました。

しかし
共和国の打倒を目指す軍部の武装蜂起により始まった内戦は、
1936年から39年にかけてスペイン全土を荒廃させていきました。


訳者のあとがきによりますと、
内戦時スペインの教会が武装蜂起した反乱軍につき、
内戦の大義そのものが反共の十字軍的性格を帯びていったこと、
この両者の結びつきが
内戦後、フランコ体制下の国家カトリック主義につながり、
庶民の生活習慣や精神活動に
大きな影響を及ぼしたということです。

このことを考慮して読むと
小説中の会話や人物の性格、行動などがより深く理解できます。

教会が反乱軍と手を結んだ背景には
共和制成立後スペイン全土に伝播したアナーキストによる教会の焼打ちと
聖職者の大量虐殺という惨劇があったそうです。

そのようなすべての暴力と恐怖のシンボルとなる人物が
この小説で重要な役割を果たしています。

バルセロナは1939年に陥落し、
以後40年近くにわたるフランコ総統の独裁が始まり、
その6年後
主人公ダニエル少年が
フリアン・カラックスの本と出合うのです。

カサ・バトリョのあるグランシア通り
~2012.6.7 スペイン旅行にて~

たった一言、真実を告げていれば
あのような悲劇は続かなかったのに・・・
小説であることを忘れてつい思ってしまいました。

訳も良くて読み易く、
歴史、冒険ミステリーであるとともに
何よりも
青春ラブ・ストーリーです。
お勧めの1冊です。


私は今回初めてサフォンの本を読みましたが、
本書以外にもバルセロナを舞台にしたものがあるようなので、
次はその小説を読んでみたいと思います。