2011年8月23日火曜日

東京都庭園美術館「皇帝の愛したガラス」

夏は蓼科が一番賑わう季節ですが、8月のお盆の頃は別荘地の人口が急に増えます。
どの山荘にも他県ナンバーの車が2台、3台と停まっています。親戚友人達が集っているのでしょう。

我が家も長男家族、続いて次男と友人達がやってきて、延べ10日程過ごして行きました。
皆がいる間は賑やかで楽しいですし、ランディも相手にしてくれる人が大勢いて嬉しそうでした。
夏の間は別荘地内でコンサートや展示会がありますので、私達も、幾つかのコンサートや絵、織物、染物の展示会に行き、忙しく動き回っていました。私はサラダの講習会にも参加しましたので、そのうち講習会の記事をアップしたいと思います。

子供たちが帰った後、掃除や洗濯をしたり布団を乾燥させたりして一段落した後、一人で東京に行ってきました。
1泊2日でしたが、美術館を3つ回り、二人の友人に会い、とても有意義な週末となりました。

今日はその1日目に行った東京都庭園美術館で開催された展覧会について書いていきたいと思います。

東京都庭園美術館はJR目黒駅から歩いて7分くらいの所にあります。
この美術館は1933年朝香宮(あさかのみや)邸として建てられたアール・デコ様式の建物で、戦後の一時期、外務大臣・首相公邸、国の迎賓館として使われてきましたが、1983年美術館としてオープンしました。朝香宮家は1947年皇籍離脱後は熱海に住まいを移されています。


②★美術館正門 by Poran111
東京都庭園美術館正門 2011.8.20

正門から美術館入り口まで美しい木々が立ち並びます。秋には紅葉が見事なことでしょう。庭の木を含め都心とは思えぬ大木の多さに驚きます。

⑪★会場から正門への道 by Poran111
美術館から見る正門への道 2011.8.20



③★美術館入り口 by Poran111
美術館入り口 2011.8.20



今回開催されているのは 「国立エルミタージュ美術館所蔵 皇帝の愛したガラス」 です。

①★パンフ表 by Poran111
 展覧会のパンフレット


ロシアのサンクトペテルブルグにある国立エルミタージュ美術館は1764年女帝エカテリーナ二世によって創設された世界でも有数の歴史と規模を誇る美術館です。同館にあるガラスコレクションは14世紀から20世紀にわたる幅広い時代と地域を網羅し、中世以降の欧州ガラス工芸の歴史的変遷を見ることができます。2000点を超えると言われる所蔵品の中から今回は約190点が展示されています。ヴェネツィアの「ラッティモ」(中国製の磁器を模して白濁させたガラス)やレース・ガラスからボヘミア、イギリス、スペインを経てフランスのアール・ヌーボー、アール・デコへと至る品々が順を追って見られます。


★パンフ裏③ by Poran111
ウェッジウッド様式の磁器製台座を持つ4本の蝋燭用枝付燭台
西ヨーロッパ 18世紀 ~パンフレットより


ロシア帝国成立以降歴代の皇帝や貴族によって収集されたガラスのコレクションは、富や権力の象徴として宮廷や館内を美しく装飾するために使われたもののほかに、国家間の贈答品としてロシアにもたらされたものがあります。加工に大変高度な技術を要するガラス製品は、それ自体が国力や技術的水準の高さを誇示する役割を担っていました。

⑤★ポストカード巡礼者用の水筒1700年頃 by Poran111
巡礼者用の水筒 1700年頃 ~ポストカード

ロシアにおいては、1735年イギリス商人がガラス工場を設立したことがガラス製造の本格的な始まりとされますが、女帝エカテリーナ二世が愛人ポチョムキン公爵にガラス工場を贈ったことを由来としてガラス製造が国家的なプロジェクトになります。その後「帝室ガラス工場」として国有化されますが、第一次世界大戦勃発とロシア革命によるロマノフ王朝の滅亡によって閉鎖されてしまいます。
その間、ロシア国産の良質なガラス製品を生み出そうと絶えず研究が続けられ、20世紀初頭には世界的レベルにまで達しました。


④★パンフ裏① by Poran111
「オルフル・セット」より ロシア、帝室ガラス工場 1790-1800年代~パンフレットより

「ルビー・ガラス」と言われる赤いガラスはとても魅力的で華やかです。
製造時に金を用いて赤いガラスを作る技法は17世紀ドイツで発明されましたが、その技術は秘密とされやがて失われていきました。その後ロシアでは18世紀半ば科学者ロモノーソフが実用化させます。
ロシア語で「赤い」という言葉は「美しい」と同じ語源で、ロシア人にとってルビー・ガラスの輝きは憧れてやまないものだそうです。

ロシア、帝室ガラス工場 by Poran111
ルビー・ガラスの花器 ロシア、帝室ガラス工場 1810年代ー1820年代 
~美術館ニュースより

★パンフ裏⑤ by Poran111
甲冑を着けた騎手を描いた栓付デカンター ドイツ 1850年代
~パンフレットより


⑤-2★ポストカードチューリップを描いた花器 ドーム兄弟1895年 by Poran111
チューリップを描いた花器 フランス、ナンシー、ドーム兄弟ガラス工場
1895年 ~ポストカード


たっぷりとガラス製品を堪能したあと、庭園に回ってみました。曇り空でしたが、雨が降っていなかったのがせめてもの幸いでした。
広い庭園は入り口から「芝生広場」、「日本庭園」(茶室あり)、「西洋庭園」と続いています。
訪れた日はお天気もぱっとしませんでしたし、色鮮やかな花も咲いていませんでしたが、お天気の良い花の季節はどんなに華やかなことか、と思いました。
⑥★庭から見た美術館 by Poran111
庭園の芝生広場から見た美術館


⑦★日本庭園 by Poran111
日本庭園 ~ 右奥にお茶室があります


⑧★西洋庭園 by Poran111
西洋庭園 


芝生広場には彫刻が点在しています。

⑨★庭園のオブジェ① by Poran111
彫刻 「風」


⑩★庭園のオブジェ② by Poran111
ユーモラスな彫刻 「ピルタイとパシュフル」


6 件のコメント:

  1. charanさんにとっては垂涎のコレクションですね♫

    あと2つはどの美術館かしら・・・あそことあそこかなぁ(笑)

    王侯貴族による政治は、人民からの搾取という側面がありますが、美術工芸品の保護と発展には必要不可欠でもあったかなと思います。

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  2. ノリダーさん、
    あまり期待していなかったのですが、とても充実した内容でした。エルミタージュ美術館には行ったことがないのですが、行ったことのある人は皆「質、量共に素晴らしい。一度は行くべき」と言います。いつか行ってみたいですね。
    あと2つは、ノリダーさんが想像されている所だと思います(笑)
    王侯貴族や大国による美術品の収集と保護は、反発を感じつつもその保存状態の良さなどを思えば、良かったと思わざるを得ませんね。

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  3. charanさん、

    今年の夏もあっという間に過ぎて行きましたね。東京も何となく小さな秋の訪れを感じます。なんて事を言っていて、残暑が厳しくないといいのですが(^^;)

    さすがにロシア宮廷が保有していたガラスのコレクションは、金も色彩も豊富で豪華そのものですね。サンクトぺテルブルグ+エルミタージュ美術館は憧れですが、生きているうちに行けるかしら。。。。


    庭園美術館は、前回はピアノの小さなコンサートの折に行きました。春爛漫の時期で、ピアノの後ろのガラス越しに庭の満開の桜が望め、とても素晴らしい景色でした。
    旧宮邸だったことを考えると、宮廷コレクションの展示などにぴったりの場所ですね。

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  4. Angelaさん、
    こちらは空も風も空気も秋の始まりです・・・
    いつも思うのですが、夏が終わり、紅葉の季節までが一番寂しさを感じます。いっそ冬になってしまえば、心の準備が出来ていているのでしょうか、平気なのですが・・・。
    Angelaさんは、庭園美術館の良い季節に行かれているんですね。ピアノのコンサート、素敵だったでしょうね~♪
    私は次回はアール・デコの館内もゆっくり見てみたいなと思っています(*^_^*)

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  5. charanさん
     皇帝の愛したガラスの中には・・・
     数点似たようなものkappaのコレクションの中に~
     ありましてよ。時代が同じなのでしょうね。

     庭園美術館のゲイとの処にレストラン在りましたでしょう?
     金田中が入っていまいてね~
     お味が見事です・・・・ョ。

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  6. Kappaさん、
    まぁ、Kappaさんのコレクションは価値あるものが多いんですね~いつか是非ブログにアップして下さい。眼の保養をしたいです♪
    はい、カフェレストラン茶酒がありますね。今回は時間がなくて入らなかったのですが、次回是非お食事や甘いものを頂きたいと思います。

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