マティス美術館を出て「ル・グラン・ツアー」のバスに乗り、シャガール美術館に行きました。
古代の丘、シミエに1973年7月7日竣工し、これまで常設展として1か所に集約されたことのないシャガールの重要なコレクションが公開されています。
1966年シャガール夫婦によって聖書の「創世記」をはじめとする17の大型絵画がフランスに寄贈され、1985年のシャガール死後、相続税として納入された作品が貴重なコレクションとなり、1988年にはフランスの国有所蔵品に指定されました。
正式には「マルク・シャガール聖書のメッセージ国立美術館」(Musee National Message Biblique Marc Chagall)というように、聖書の物語をテーマにした作品が展示されています。
『我々のように、我々の姿をかたどって人間を造ろう』(創世記)という神の言葉を物語る「人類の創造」(1956-1958年)。
【まだほんの子供の頃から私は聖書に夢中でした。私にはそれがいつの時代にも一番大事な詩の源泉のように思えたし、今でもそう思うのです。】(シャガール)
シャガール(1887-1985)はロシア(現ベラルーシ)出身のユダヤ人で、1910年パリに5年間滞在したのち、ロシアに戻りますが、ナチスの迫害を避けアメリカに亡命します。1947年パリに戻り、1950年から南仏に永住することを決意し、フランス国籍を取得しました。
【聖書は自然の響きのように思え、だから私はこの秘密を伝えようとしたのです。・・・・・人々が安らぎや精神性、宗教心、そして人生の意味を見出せるように、私は作品をこの「家」に残そうと思いました。】(シャガール)
アブラハムと天が使わした3人の天使たちとの出会い。
天使たちは神の意思と恩寵の使者であり、アブラハムとサラは高齢にもかかわらずイサクという息子を授かります。「アブラハムと3人の天使」は神の愛を描いていますが、「イサクのいけにえ」は神の恐ろしい要求を示しています。
最愛の息子をいけにえとして捧げよという神の要求に対し、苦しみながらもアブラハムは神に従います。
振りかざされたナイフの下にイサクの若い身体が横たわり、天使を仰ぐアブラハムの顔には、神に従いながらも不安に満ちた問いかけが、悲劇的な赤い輝きの中に表れています。
左脇に描かれたサラは、哀願の叫びを発しているかのように見えます。
アブラハムのこの行為を見て、神はイサクの代わりに子羊をいけにえに選び、『私は心からあなたを祝福する。あなたの子孫を天の星のように増やし、彼らによって地上のすべての国民を祝福しようーあなたは私の声に従ったからだ』と、イサクの命を救います。
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